会議でいいアイデアが浮かんで、
話がめちゃくちゃ盛り上がる。
そのために何をすればいいかも
ばっちりイメージできた。
皆テンションが上がり、
「それいいじゃん、やろうよ!」
「間違いなく売上伸ばせるぞ」
でも1ヶ月後。
誰ひとり具体的に動いていなかった・・・
なんてよくある話だ。
例えば、こんなデータもある。
セミナーや講演会に参加した人のうち
学んだことを実際にやってみるのは
だいたい20%しかいないらしい。
そして実行し続ける人は、
さらにその中の20%。
つまり、成果を出す可能性があるのは
受講者全体の4%だけということだ。
ほとんどの組織(個人も)は、
自分の為になると知ったからといって
必ずそれを実行するとは限らない。
これはビジネスに限った話ではない。
例えばダイエットをする、禁煙する、
体を鍛える、もっと本を読む・・・。
どれも大切なことで、間違いなく
自分のためになると知っている。
しかし、ほとんどの人は行動に移さない。
それはなぜか?
まず問題なのは「人が行動を起こす」
ということを意外と軽く考えていることだ。
何か変化を起こそうというときに、
「人生がもっと素晴らしくなるよ」
「目標は達成する価値があるよ」
と説明し、そのための方法を示すだけ
で十分だと思い込んでいるのだ。
そんなわけはない。
そんなわけないんだけど、
ほとんどの指導者やアドバイザーは
要するにそのようなことを繰り返し
言っているにすぎない。
「もし煙草をやめ、運動をして、
健康そのものの体になったらどれほど
素晴らしいか想像してごらん」と。
それに対する答えは?
「まさにそのとおり!でもそんなこと
はもう聞き飽きたので帰ってくれ」
・・・・・・。
多くの経営者や上司、あるいは
コンサルタントも同じことをする。
組織に対して、何か新しいビジョンや
戦略を示すとする。
それを聞いたほとんどの人が見せる反応はこうだ。
「そんなことは昔から知っている。
皆わかっている。そんなことよりも、
なぜ我々がそうしない理由を尋ねない?」
“そうしない理由”
「やらなければならない」
「やった方がいい」
とわかっているのに取りかからない。
その一番の理由は、
報酬(喜び)が将来にあるのに対して
改善のための我慢、面倒、恐れ、不安
は目の前にあることだ。
目標を達成するには、今すぐ自分の
生活習慣や行動習慣を変えなければ
ならない。
それから新しい習慣を維持し、今まで
の楽な(慣れている)毎日に戻りたい
という誘惑に勝たなければならない。
そのあとで、
やっと恩恵を手にすることができる。
僕もそうだが、たいていの人は
ご褒美が後回しになることが苦手だ。
組織の戦略においては特に、
「ある程度の時間、そこそこうまくやる」
くらいでは、思い描いていた理想の
結果など手に入らない。
ちょっと試してすぐやめるぐらいなら
最初からやらない方がいい。
それでは時間が無駄になるどころか、
マイナスの影響を及ぼすことにもなる。
「どうせ自分たちにはできない。
前にもやって失敗したし」
というシニカルな文化を生み出して
しまうかもしれない。
その時間、別のことをやっていれば
もっと有益だったかもしれない。
減量でいえば、
短期的な努力をくり返すことは
長期的な成功にとって有害になる。
戦略はダイエットに似ている。
健康的な体を作ろうとしたときに、
減量、禁煙、禁酒、運動のどれが一番
体にいいかを議論しても意味がない。
なぜなら、個々の目標達成に必要な
実際のプログラムに取り組まなければ
絶対に結果は出ないからだ。
唯一意味のある議論は、
「あなたはどの療法に真剣に取り組めるか」
である。
あなたにとって最高のダイエットとは
あなたが続けられるダイエットだ。
ビジネスの戦略計画ツールの一つに、
SWOT分析(強み、弱み、機会、脅威)
がある。
これを議論することは楽しいかも
しれないが、これで本当の問題解決に
近づくことはできない。
戦略計画の成果として必要なのは、
分析や洞察ではなく、
「これをやると決意すること」
なのだ。
会議で、目標そのものを論じることは楽しい。
刺激的で、ワクワクして、元気が出る。
しかし、本当に大切なのはそこではない。
「目標は●●だ!」のあとに、
「で、そのために誰が何するの?」
を具体的に考える必要がある。
そして最も重要なことは、
「それって本当にできるの?」だ。
そこで、新たに何か始める際には、
次の問いを自分(あるいは組織)に
してみるといい。
『本気でやると決意できるか?
必要であれば今までの考えや慣習を捨て去る覚悟ができているか』
『その時間はあるのか?
時間を作るために今の日常を変える心の準備ができているか』
高畑 昌史
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