
高畑です、
知っている人もいると思うが、
こんなおもしろい実験結果がある。
ある雑誌の購読案内。
ウェブ版と印刷版があるのだが、
それぞれこんな案内を出してみた。
案内A
◆5,900円―ウェブ版だけの購読
◆12,500円―ウェブ版と印刷版のセット購読
案内B
◆5,900円―ウェブ版だけの購読
◆12,500円―印刷版だけの購読
◆12,500円―ウェブ版と印刷版のセット購読
違いは一つだけ。
案内Bには「印刷版だけの購読」が含まれている。
しかもこれ、「セット購読」と同じ料金。
普通に考えて、選ぶ人がいるわけがない。
そう。
事実、これを選ぶ人はいなかった。
しかし、売上に与える影響は絶大だったのだ。
それぞれ100人のグループに
どれを選択するかを聞いたところ、、、
案内A
◆5,900円―ウェブ版だけの購読 (68人)
◆12,500円―ウェブ版と印刷版のセット購読 (32人)
売上・・・801,200円
案内B
◆5,900円―ウェブ版だけの購読 (16人)
◆12,500円―印刷版だけの購読 (0人)
◆12,500円―ウェブ版と印刷版のセット購読 (84人)
売上・・・1,144,400円
何の魅力もない「印刷版だけ」を
選んだ人は一人もいなかったが、
「セット購読」を選ぶ人が62%も多くなった。
売上は43%増だ。
つまり、「印刷版だけ」はおとりで、
「セット購読」の方が得だと思わせたのだ。
似たような例で、
ツアーの目的地としてローマかパリを選ぶ場合。
どちらにも無料の朝食がついている。
意思決定には時間がかかり、
2つの選択肢の間でかなり迷う。
しかし、「朝食なしのローマ・ツアー」を導入すると、
元のローマ・ツアーが魅力的に見え、
同条件のパリ・ツアーをあっさり打ち負かすのだそうだ。
「捨て色」というのも、そういうことなんだと思う。
売れ筋の色ばかりを並べるより、
明らかに売れないだろうけど、
黄色(例えばです・・・)が混じっている方が
全体としては売上が上がる。
そういえば、
もうかなり前のことになるが
自分が住むアパートを探していたとき、
最初、見せてくれる物件がどれもこれもイマイチで、、、
その日の最後に見に行った物件がとても良くて、
すぐそこに決めた、ということがあった。
今思えば、
あれは「おとり作戦」だったのか・・・
(でも実際、すごく住み心地はよかった)
高畑昌史
Comments