「アレクシスがこれを気に入るとは思えない」と、美容商材を販売するビューティサプライ社のエグゼクティブが言った。
ベリーは戸惑って「何ですって?」と尋ねた。彼は新製品の香料入り手指消毒剤を売り込もうとしていたのだが、机の上に戻した。
次に、新しいUVライト対応のマニキュア液を取り上げて、グループのメンバーに手渡し、「わかりました。では、この製品はいかがでしょう」と尋ねた。
メンバーたちはその製品をじっと見て、ふたを開けると、匂いを嗅いだ。そして、「そうですね、アレクシスはこれも気に入らないと思いますよ」と答えた。
ベリーはさらに困惑し、今度は少し苛立ちながら、彼らに売り込むつもりの3つ目の、最後の製品を取り出した。
彼らは前と同じように、製品を見てざっと確認すると、「申し訳ないが、アレクシスは絶対にこれも気に入らないでしょう」と言った。
さらに苛立ちを覚えたベリーは、話し相手の2人のエグゼクティブを見て、ついにこう口走った。「アレクシスって誰なんです!意思決定者ですか?なぜあなたたちではなく、彼女がこの場に出てこないのです?今会社にいるのですか?直接彼女にお話しをさせてもらえませんか?貴社でこれらの製品を販売すべきだと、彼女を説得してみせますよ!」
一瞬の沈黙のあと、2人のエグゼクティブは突然笑い出した。
「アレクシスは人間ではありません。我が社の顧客アバターです」と片方のエグゼクティブが答えた。
「何ですって?」とベリー。顧客アバターという言葉など、聞いたこともなかった。「申し訳ありませんが、どういうことでしょう?アレクシスは人間ではないのですか」
(『TRAFFIC SECRETS』ラッセル・ブランソン著 より引用)
どの製品を採用するべきか、
どんな広告を掲載するべきか、
ウェブサイトはどんなものにするべきか、
ブランド戦略にどんな色を使うべきか・・・
ビジネスをしていると、日々選択・決定に迫られる。
そんなとき、役に立つのがこの「アバター」だ。
「ペルソナ」という言い方もある。
理想の顧客を体現した架空の人物
のことだ。
僕はチラシやLPを作るとき、
「アバター」を設定するようにしている。
理想の顧客像を思い描き、その人に向けて書く。
ポイントは「理想の」というところ。
「買いそうな」顧客ではない。
こんなお客さんで溢れていたら毎日楽しいな~
という人を思い描く。
実際、これがしっかり描けないと、コピーがうまく書けない。
誰に向けて書くかで、
口調(文体)も変わってくるし
何を伝えるかも変わってくる。
冒頭で紹介した
「ビューティサプライ社」は、
アレクシスのプロフィールを
かなり具体的に設定している。
彼女がどんな人で、
何人子供がいて、
どこに住み、
収入はどれくらいで、
どんな家に住んでいるか・・・
細かく決められたプロフィールが
壁に貼られている。
これは、架空の人でなくてもいい。
実在する人物でももちろんOKだ。
今の顧客の中に理想の人がいれば、
その人をアバターにするといい。
このことを考えると、、、
あらためて、
「自分のビジネスは自分のものじゃない、
ビジネスとは顧客のものだ」
ということを思い知らされる。
自分が販売する商品(サービス)で
顧客の人生を変えたいと思うなら、
顧客以上に顧客のことを知り、理解する必要がある。
高畑昌史
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